●交通:JR・近鉄奈良駅から春日大社本殿行バス「春日大社本殿」下車すぐ、市内循環バス「春日大社表参道」下車徒歩約10分

もともとこの地は、御蓋山を中心とする神地でしたが、平城京遷都にともない、茨城の鹿島からタケミカズチノミコトを迎えたのが、春日大社のはじまりといわれています。その後、千葉の香取からフツヌシノミコト、大阪の枚岡からアメノコヤネノミコトとヒメガミを迎え、神護景雲2年(768年・奈良時代中期)に4つの神をまつって、いまのような社殿ができました。保延元年(1135年・平安時代後期)には更に若宮神社ができ、皇室を始め貴族や武士などの春日もうでが流行し、鎌倉時代からは庶民の信仰もさかんになり、人々から石燈籠、釣燈籠が寄進されました。その燈籠に火を灯す万燈籠が節分の日と8月14・15日に行われ、美しく幻想的な雰囲気をつくり出しています。特に奈良時代以降、20年に一度、社殿を造り替える「式年造替」が行なわれており、平成27、28年で60回目を迎えました。

緑茂る樹木と石燈籠にかこまれた朱色の大社は、平安時代とかわらぬみやびな世界にみちています。

承和3年(836年・平安時代中期)に造られたといわれ、春日鳥居という鳥居の代表的な形です。いまの鳥居は、江戸時代に再建されたものです。

●有料

春日大社に伝わる、神宝類や貴族・武士が奉納した鎧や太刀など国宝や重要文化財の宝物約3000点を収蔵・展示しています。

●有料

日本で最も古い萬葉植物園で約3ヘクタールの園内には、万葉集によまれた植物などが、歌をそえて植えられています。そのほとんどは、万葉人が薬用、食用、染料などに使っていたもの。5月5日と11月3日には、池の舞台で奈良時代から伝わる雅楽や舞楽が行われ、王朝時代の華麗な芸能を楽しめます。

二之鳥居の手前にある車舎は、昔、勅使(天皇の使い)などの乗り物の車を納めたところ。美しくゆるやかにのびる屋根がみどころです。

南門横にある着到殿は、春日祭のときに勅使が当日の式次第を確認する神事をするところです。いまの建物は、応永20年(1413年・室町時代中期)に建てられた素木造りの簡素な建物です。

高さ12メートルの朱塗りの門で、本殿を囲むように回廊がついています。回廊には、約1000もの釣燈籠があり、万燈籠の日にはすべてに火が灯され、幻想的な世界にひたることができます。4月下旬には、有名な砂ずりの藤が、優雅に花を地面にまでとどかせています。

春日造と呼ばれる4つの本殿があります。いまの本殿は文久3年(1863年・江戸時代末期)に造られ、「式年造替」の制度により平安時代末頃の建築様式を受け継いでいます。

南門から南へ四角い石燈籠が並ぶ道を行くと若宮神社があります。保延2年(1136年・平安時代後期)から、奈良の代表的な祭として有名な若宮おん祭がはじまりました。「祭じまいはおん祭」といわれ、1年で最後の日本の大きな祭として、いまも12月15〜18日に盛大におこなわれています。

春日大社の神様は交通安全の守り神

旅に出発することを「鹿島立ち」ともいいます。これは春日大社にまつられているタケミカヅチが鹿に乗って鹿島を旅立たれ、無事に奈良に着いたことに由来します。だから春日大社の神様は交通安全の守り神でもあります。